数次相続(数世代間に渡る相続・先々代名義のままの不動産があったら・・・)
2016/07/27
数次相続とは、数世代間にわたる相続のことをいいます。
相続が発生したからといって、いつまでに相続登記を申請しなくてはならないという決まりはありません。
相続登記(不動産登記)をしなくてはならないというような法律上の義務はないのです。
一方で、相続登記を申請すると、登録免許税等の費用が掛かります。戸籍を集めたりの手間もかかります。
あるいは、相続の話し合いがまとまらず、登記をせずに放置しておくということもあるかと思います。
このような事情から、相続登記をしないでそのままにしておくということは比較的よくおこなわれているかと思います。
場合によっては、数十年以上相続登記をせずに放置するということもあるかと思います。
さて、そのようにして相続による所有権移転登記をしないでいるうちに、相続人が亡くなってしまうことも珍しくありません。
このように、仙台の相続手続きが終わらないうちに、次の代の人も亡くなってしまい、新たな相続が発生するというのが、典型的な数次相続の事例です。
今回は、そのように、相続登記をしないでいるうちに、相続人が亡くなってしまい、さらに新たな相続が発生した場合の相続登記について考えていきたいと思います。
数次相続の場合、相続が二回発生しているわけですから、二回の相続それぞれに必要な書類が必要になってきます。
また、遺産分割協議に参加する必要がある人も、二回の相続それぞれの相続人すべてということになります。
ここまでは、問題ないとして、数次相続の場合、問題となるのは一件の登記で済むかということです。
<一件の登記で済むか、連件で複数件の登記を入れる必要があるか>
最初の相続と次の相続を別々に申請(二連件で申請)できるのは当たり前です。
ただ、そうすると、最初の申請と二回目の申請でそれぞれ登録免許税がかかってしまいます。
もし一件の登記で済めば、一回分の登録免許税が節約できることになります。
相続登記が一件の申請で済むかどうかは、登録免許税が結果的に半分になるという意味で実益があることになります。
ですので、できることならば、一件で相続登記を済ませたいところです。
結論から言うと、
中間の相続が単独相続の場合は一件の登記で済みます。
中間の相続が複数人で行われていた場合、最初の相続と次の相続は別件で登記しなくてはなりません。
というように、中間の相続がどうなるかで結論が変わってきます。
次のような例を考えてみます。
おじいさんがA
お父さんがB
お子さんが二人でC、D
お父さんの弟さん(おじさん)をE
おじさんの子ども(いとこ)をF、G
おじいさんのA名義の不動産がある
わかりやすくするために、それぞれの配偶者については触れないこととする。
①亡くなったおじいさん名義の土地をC、Dの共有名義にする場合
この場合は、AからBに相続されてBからC、Dに相続されたという流れになります。
従って、中間の相続人は一人(単独相続)です。
単独相続で登記が一件で済む場合の登記申請書の記載例については
をご覧ください
②CとFが不動産を取得する場合
この場合、AからBとEに相続され、Bに相続された持分がCに、Eに相続された持分がFにそれぞれ相続によって移転していることになります。
従って、この場合は、中間の相続人が二人おり、中間の相続が単独相続ではないことになります。
最初のケースは、中間の相続が単独相続(中間の相続人が一人しかいない)ので、一件で相続による所有権移転登記ができるケースになります。
一方、次のケースは、中間の相続が単独相続ではない(相続人が二人いる)ので、連件で相続登記を入れなくてはなりません。
このケースでは、
AからBとEへの相続を原因とする所有権移転登記
BからCへのB持分全部移転登記
EからFへのE持分全部移転登記
の三連件登記を申請する必要があります。
<中間の相続が単独相続であるという意味について>
なお、中間の相続が単独であるという意味ですが、物理的に中間の相続人が一人しかいないという場合だけではありません。
遺産分割協議や相続放棄等によって、結果として中間の相続人が単独になった場合も含まれます。
上記の例でも、遺産分割協議の結果、中間の相続人が単独になった場合ですが、中間の相続を単独相続とみて、一件の登記で相続登記をすることができます。
<代襲相続と数次相続の混同に注意>
なお、数次相続と混同しやすいものとして、代襲相続がありますが、数次相続と代襲相続では相続人の範囲等が変わってしまうので、注意が必要です。
数次相続はおじいさん→お父さんの順番で亡くなった場合ですが、お父さん→おじいさんの順番で亡くなった場合には代襲相続の問題となります。
どうしても、生まれたのが早い順に亡くなっていくという思い込みがありますが、そうでないケースも少なくなく、亡くなる順番で相続人の範囲が変わってきたりするので、注意が必要です。
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