遺贈と相続の登記手続上の違い
2016/08/16
遺言に基づいて不動産登記(相続登記)を行う場合、遺贈を原因とする所有権移転登記と相続を原因とする所有権移転登記が考えられます。基本的には、遺言書の文言が「相続させる」となっているときには相続登記を、「遺贈する」となっているときには遺贈登記をすることになります。
ただし、相続人以外に財産を与える場合、相続を原因とする登記はできません。相続人以外が相続することはありえないからです。仮に、相続人以外の者に「相続させる」とされている遺言があったとしても、相続登記をすることはできません。
では、相続人以外の者に「相続させる」という遺言があった場合どうなるでしょうか?
一応、登記実務では、無効とはせず、この遺言に基づき、遺贈登記ができることになってはいます。相続人以外の者に「相続させる」という遺言は間違いには違いないですし、登記実務の扱いが変わらないとも限らないので注意が必要です。
相続人に対しての場合、基本的には、遺言書の文言に従います。
一部例外もありますが、「相続させる」と書いてあれば相続、「遺贈する」と書いてあれば遺贈になります。
では、「譲る」だったらどうなるか、「与える」だったらどうなるか等、色々と考えることはあるかと思いますが、これから遺言を作るのであれば、あいまいな表現は使わない、わからなければ専門家に任せるということが大切かと思います。
さて、遺贈登記と相続登記の違いについて触れていきたいと思います。
まず、最大の違いは、単独申請できるかどうかの違いです。
相続登記は、権利を取得する相続人のみの単独申請で登記することができます。
一方、遺贈登記は登記の原則通り、共同申請になります。
遺言執行者がいる時は、権利を取得する相続人と遺言執行者の共同申請、遺言執行者がいないときには、
権利を取得する相続人と他の相続人全員の共同申請になります。
遺贈登記の場合、遺言執行者か他の共同相続人全員の協力がないと所有権移転登記ができないことが、最大の相違点となります。
また、遺言執行者の要否についても結論が異なります。
相続させる遺言がある場合、 亡くなると同時に、当然に、その相続人に権利(所有権)は移転します。
従って、遺言執行者がいる場合でも、この相続手続に遺言執行者が関与する余地はありません。
一方、遺贈の場合、共同相続人や遺言執行者が遺言を執行する必要があるので、手続に遺言執行者が絡むことになります。
農地法の許可については、遺贈と農地法の許可というコラムをご覧ください。
なお、登録免許税については、現在では、相続人への移転登記の場合、遺贈、相続ともに1000分の4の税率で違いはありません。
遺贈登記と単独申請(令和6年10月1日付記)
今回の記事を書いた時点では、遺贈の登記は、だれが申請するかに関わりなく、常に共同申請で登記申請をする必要がありました。
その後、法改正があり、現在では、相続人への遺贈に限られますが、遺贈登記を単独で申請することが出来るようになりました(不動産登記法63条3項)。
ただし、相続人以外への遺贈登記は、従来通り、共同申請となりますので、ご注意ください(同項の括弧書きに、(相続人に対する遺贈に限る。)と記されているため)。
(判決による登記等)
第六十三条 第六十条、第六十五条又は第八十九条第一項(同条第二項(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第九十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、これらの規定により申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同してしなければならない者の他方が単独で申請することができる。
2 相続又は法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。
3 遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)による所有権の移転の登記は、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者が単独で申請することができる。
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