相続登記を放置することのリスク
2023/04/01
2024年(令和6年)の4月から相続登記が義務化されます。
これまでの制度では、不動産登記は義務ではなかったので、かなり劇的な制度変更となります。
相続登記が義務化されるまでは、相続登記をしないで放置することも珍しくはありませんでした。
しかし、相続登記義務化以前でも、相続登記をしないで放置することには、いくつかのリスクが存在しました。
放置しておくことで、いざ、相続登記をしようと考えたとき、放置しなかった場合に比べて、手続きが困難になったり、事実上、相続登記手続きができなくなってしまうことがあるのです。
今回は、数次相続を例にとり、相続登記の放置と数次相続について考えてみたいと思います。
数次相続とは、遺産分割協議(遺産分割の話し合い)未了の間に、相続人が亡くなってしまい、相続人にも相続が発生してしまうことをいいます。
この場合の最初の相続を一次相続といい、次に発生した相続を二次相続といいます。
一次相続だけでなく、二次相続も発生するので、「数次相続」と呼ぶわけです。
この数次相続ですが、相続手続き(相続登記)放置期間が長ければ長いほど、複雑になる可能性が高まります。
複数の相続人に二次相続が発生したり、三次相続が発生してしまう可能性も出てくるからです。
なお、数次相続に似た概念で、「代襲相続」というものがあります。
代襲相続は、被相続人が亡くなった時点(相続発生時点)で、本来相続人となるはずだった方が亡くなっている場合に、相続人となるはずだった方の子ども(直系卑属)が代わりに相続人となるというものです。
例えば、ある方が亡くなったとして、それより前に息子さんが亡くなっていたような場合です。
この場合で、お孫さんがいれば、お孫さんが代襲相続人となります。
この代襲相続と数次相続は、似て非なる概念ですし、代襲相続と数次相続では相続人となる人が異なってくるので注意が必要です。
さて、相続登記の放置と数次相続の話に戻ります。
相続登記を放置して、その間に数次相続が発生してしまった場合、一言でいうと、手続きが煩雑になるという問題があります。
なぜかというと、相続人が増える可能性があるし、疎遠な相続人が出現する可能性があるからです。
例えば、相続人が子A・B・Cの3名だったとします。
相続手続きを放置している間に、Aが亡くなってしまったとします。
このような場合、二次相続(数字相続)が発生した結果、Aの配偶者のDとAの子どものE・Fも相続人となります。
この場合、相続人の数が2名増えたことになります。
ここで、BやCがAとは親しかったものの、DやE・Fとはあまり親しくないというようなケースもありうると思います。
このように、数次相続では、相続人の数が増えたり、疎遠な相続人が現れ。相続手続きが複雑化する可能性があるというリスクをはらんでいます。
放置期間が長くなり、複数の数次相続が発生したり、三次相続、四次相続が発生したりすると、さらに手続きは困難化することが予想されます。
以下に、さらに困難なケースを挙げておきます。
長くなるので、別の記事でご説明していくことにします。
<数次相続において相続人が不存在となった場合>
相続登記を放置した結果、数次相続が発生した。
二次相続の相続人には相続人はいなかった。
相続人が子A・B・Cの3名である場合に、相続手続きを放置している間に、子Aが死亡した。
Aには唯一の相続人として、一人っ子のDがいたが、その後、Dも死亡した。
子Dには配偶者も子もいなかった。
このような場合に、数次相続の結果Dが取得していた相続権はどうなるのか?
言い換えると、Dの存在を無視して、B・Cだけで相続手続きをできるのか??
<数次相続と相続放棄>
相続手続きを放置している間に二次相続が発生した。
二次相続の被相続人は借金を背負っており、二次相続について相続放棄をしたいと考えている。
相続人が子A・B・Cの3名である場合に、相続手続きを放置している間に、子Aが死亡した。
Aには借金があった。Aの相続人であるD・EはAの相続(二次相続)につき、相続放棄を考えている。
二次相続につき、相続放棄した場合、一次相続の手続きにどのような影響が出るか。
D・EがAの相続(二次相続)を放棄したことで、B・Cにどのような問題が発生するか??
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