法定相続情報番号の提供と相続登記等における法定相続情報一覧図の写しの添付省略について
2024/04/04
2024年4月1日より、相続登記が義務化されましたが、法定相続情報証明制度でも、新しい運用がスタートしました。不動産登記における、法定相続情報一覧図の写しの添付省略の制度です。
目次
法定相続情報一覧図の写しの添付省略の制度概要
相続登記では、戸籍の添付が義務付けられています。ただし、法定相続情報一覧図を添付することで、戸籍の添付の省略が可能となります。ここまでは従来通りですが、今回、一歩進んで、従来は、法定相続情報一覧図の写し(証明書の原本)を登記申請書に添付するかわりに、登記申請書の添付情報欄に「登記原因証明情報(法定相続情報番号(1234-56-789101))」というように記載することで、法定相続情報一覧図の写しの添付を省略できるようになったのです。
なお、「法定相続情報番号」とは、法定相続情報を識別するための番号のことです。
注意点
この法定相続情報一覧図の写しの添付省略の制度には、いくつかの注意点があります。
・「法定相続情報番号」を使えるのは不動産登記の申請等手続のみとなっています。
同じ法務局の登記手続でも、会社の登記には使えませんし、裁判所や金融機関の手続でも使えません。
・法定相続情報一覧図の保管の申出から5年以上が経過している場合は、法定相続情報番号を使えない可能性があります。
その他にもいくつか注意点がありますが、この2点を抑えておけばよいのではないかと思います。
省略にどれだけの意味があるのか
番号を提供できることで法定相続情報一覧図の写しの添付省略ができるという新制度にはどれくらいの意味があるのでしょうか?この新制度によって、利用者の利便性は増すのでしょうか?私は、新制度にはあまり意味がなく、利用者に与えるプラスの影響も限定的だと思われます。その理由は以下のとおりです。
・不動産登記にしか利用できない
・法定相続情報一覧図の写しの請求手続は不動産登記と同時にもできるので、法定相続情報一覧図の写しを相続登記に利用する場面が限定されている
・法定相続情報一覧図の写しは、例えば10通など、余分に受取っておくことも可能である。余分に受取っておけば、原本が足りなくなることもなく、番号を記載するまでもなく、原本を添付すればよい。
・法定相続情報一覧図の写しは、原本還付だできたり、コピーの添付でよかったりする場合が多く、その意味でも原本が足りなくなることは少ない
将来的には大きな意味が出てくる可能性も
しかし、将来的に、、「法定相続情報番号」が不動産登記以外にも使用可能になれば、この制度は大きな意味を持ってくるかもしれません。更には、一度登録した法定相続情報は、永遠に有効であり、番号を使用すれば、いつでも相続関係を証することができるようになれば、意味が出てくるように思います。
逆に言うと、それくらいしないと、この制度が意味を持ってくることはないのではないかと思います。
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