こうご司法書士事務所

「相続登記義務化詐欺?」にご注意ください

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「相続登記義務化詐欺?」にご注意ください

「相続登記義務化詐欺?」にご注意ください

2024/04/20

2024年4月1日から相続登記が義務化されます。これまで、不動産登記は義務ではなく、するかしないかは当事者次第だったので、非常に大きな変化だと思います。とはいえ、当事務所では、相続登記義務化を必要以上に気にしたり、不安に思う必要はないと考えています。その立場から、この相続コラムにも、いくつかの記事を載せてきました。

勿論、相続登記に限らず、登記は重要です。義務化されているかにかかわらず、相続登記はしたほうがよいし、しないことによる不利益があることは認識しておくべきです。しかし、相続登記義務化を必要以上に気にしたり、焦って登記する必要は全然ないのです。

目次

    「義務化されたから、登記に協力してよ」と言われたら

    当事務所が、義務化を必要以上に気にするべきではないという文章をたびたび載せているのには理由があります。

    義務化されたことを理由として、相続登記への協力を求められた場合に、妥協してまで相続登記に協力する必要はあるのでしょうか。この点、義務化されたということを強調すると、多少妥協しても、遺産分割協議を成立させ、登記すべきだというように考えてしまいがちです。

    そんなことはないよというのが 当事務所が申し上げたいことです。

    「あなたが同意しないから、過料が科される。科されたら責任取ってよ」と言われたら

    「登記に協力してよ」と言われるだけなら、そうしたことはあり得るだろうし、それをきっかけに、相続の話し合いをスタートすることはよいことだと思います。

    しかし、「義務化を逃れるために妥協してよ」と言われると、ちょっと違ってきます。

    それを超えて、「あなたが同意しないから、過料が科される。科されたら責任取ってよ」とか、「相続登記が義務化されました。あなたが妥協しないと過料が科されます。過料を取られないために妥協してください」などと言われるようなことがあった場合、かなり問題だと思います。

    義務化を理由に妥協する必要はない

    相続登記が義務化されても、不本意な妥協をしてまで、遺産分割協議に同意する必要はありません。仮に、交渉の場で、相続登記義務化をちらつかせられたり、相続登記義務化を理由に妥協を強要されたりしても、全く意に介する必要はないのです。

    私は、いわゆる「相続登記義務化詐欺」とでもいうような、「相続登記が義務化されるから、過料を逃れるために妥協しなさい」というような言説を使って交渉するような事態にならないか危惧するのです。

    仮に、交渉相手からこのようなことを言われたとしても、気にする必要は全くないのです。

    (相続人である旨の申出等)
    第七十六条の三 前条第一項の規定により所有権の移転の登記を申請する義務を負う者は、法務省令で定めるところにより、登記官に対し、所有権の登記名義人について相続が開始した旨及び自らが当該所有権の登記名義人の相続人である旨を申し出ることができる。
    2 前条第一項に規定する期間内に前項の規定による申出をした者は、同条第一項に規定する所有権の取得(当該申出の前にされた遺産の分割によるものを除く。)に係る所有権の移転の登記を申請する義務を履行したものとみなす。
    3 登記官は、第一項の規定による申出があったときは、職権で、その旨並びに当該申出をした者の氏名及び住所その他法務省令で定める事項を所有権の登記に付記することができる。
    4 第一項の規定による申出をした者は、その後の遺産の分割によって所有権を取得したとき(前条第一項前段の規定による登記がされた後に当該遺産の分割によって所有権を取得したときを除く。)は、当該遺産の分割の日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。
    5 前項の規定は、代位者その他の者の申請又は嘱託により、同項の規定による登記がされた場合には、適用しない。
    6 第一項の規定による申出の手続及び第三項の規定による登記に関し必要な事項は、法務省令で定める。

    相続人申告登記(相続人である旨の申出の制度)を利用すれば、過料は科されない

    相続登記義務化と同時に、相続人申告登記制度も開始されます。この制度は、自分が相続人であるという事を申し出る制度ですが、この制度を利用すると、相続登記をしなくても、相続登記申請義務を果たしたことになります。

    過料が科される例はかなり限定的なはず

    既に、何度か書いているように、私は、相続登記が義務化されても、実際に過料が科される例は、かなり少ないのではないかと予想しています。その意味でも、必要以上に相続登記義務化を気にして、遺産分割協議で不必要な妥協をする必要はないのです。

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