相続手続きと小為替
2024/04/29
定額小為替と相続手続
みなさんは、定額小為替をご存知でしょうか?多くの方にとってはなじみが薄いものだと思います。相続手続きを行う専門職にとってはなじみ深いものになります。また、一般の方でも、相続手続きをしたことのある方ならば、なじみのあるものになるかもしれません。
遠方の市役所等に戸籍を郵送で請求する場合、戸籍の料金を小為替で支払うことになっているからです。今回はこの、小為替について書いてみたいと思います。
〇小為替の問題点
発行手数料がかかる
小為替には発行手数料がかかります。額面に関わらず、1通200円です。以前は、1通100円でしたが、2022年1月17日から1通200円に値上げされています。小為替には、50円、100円、150円、200円、250円、300円、350円、400円、450円、500円、750円、1000円の12種類の額面のものがあります。額面50円の定額小為替でも200円の発行手数料がかかります。
多めに取得せざるを得ない
相続手続きには、被相続人の生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍が必要です。相続登記の場合、相続人の現在戸籍も必要です。兄弟姉妹間の相続では、ご両親の戸籍も出生までさかのぼって必要になります。請求段階では、必要な戸籍が何通になるかわからないので、いくら分の小為替を用意すればよいかわかりません。従って、通常、多少多めに小為替を用意します。その分、手数料も増えることになります。
他に使い道がない
戸籍を請求する際に、小為替は多めに入れることになるので、通常、小為替は余ることになります。余った分(お釣り)は小為替で戻ってくることになります。この戻ってきた小為替ですが、専門職であれば、別の相続手続きの際に使用することもできます。しかし、一般の方の場合、余った小為替の使い道はほとんどないはずです。余った小為替は郵便局にもっていけば現金と交換できますが、面倒であることは言うまでもありません。小為替のために無駄な労力が発生してしまうわけです。
〇なぜ、小為替でなければならないのか
確かに小為替は便利だが...
小為替には便利な面があることは事実です。現金書留以外で現金を郵送することはできませんが、小為替を郵送することはできます。請求段階では金額が不明な戸籍請求の場合、お金を多めに入れることになるので、ほとんどの場合、返金も生じるわけですが、送付、返却ともに現金書留で行うのは、煩雑だし費用もかかります。それを考えると小為替とは非常に便利なものですが、いくら便利でも、現在の手数料を前提とするなら、その利便性もかすんでしまうように思います。
また、現在では、オンラインの決済やインターネットも発達しているので、「かつてのアナログな時代であれば便利であったが、現在では...」というような、古い時代の遺物的な存在とみなされても仕方がないと思います。
〇オンライン請求・オンライン支払はできないのか
オンラインの活用
小為替の問題点として、さらなる値上げの可能性も捨てきれないということです。郵便局の現状からすると、いつ再値上げがあってもおかしくないと思います。
例えば、現在、登記申請はオンラインで行えます。マイナンバー制度が普及しつつある現在、戸籍をオンラインで請求すること、オンラインで料金の決済を行うことがそれほど大変なことなのでしょうか。
私は、戸籍をオンラインで取得するシステムが必要だし、今後、相続登記を促進していきたいのであるならば、この国にとって欠かせないシステムだと思います。こうしたシステムを導入できないのなら、戸籍制度を見直すべきではないかとさえ思ってしまいます。
〇戸籍の広域交付という解決法
戸籍の広域交付について
2024年3月から戸籍の広域交付の制度が始まりました。この制度により、全国どこの自治体の窓口でも、戸籍の取得ができるようになりました。しかも、現在戸籍だけではなく、被相続人の戸籍すべてを取得することが可能となりました。この広域交付で、遠くの自治体に郵送で小為替を使って戸籍を請求するという問題は解決したかのように思えます。
取れない戸籍もある
戸籍の広域交付では、全ての戸籍が取れるわけではありません。最大の問題点は、兄弟姉妹の戸籍が広域交付の対象となっていないことです。戸籍の附票、焼失証証明書、廃棄済証明書等も広域交付の対象外です。 こうした戸籍等については、従来通りの取得方法で取得せざるを得ないので、小為替の問題も解消しないことになります。
〇戸籍の広域交付を数歩進めて
戸籍の広域交付の対象を広げる
戸籍の広域交付の対象を、兄弟姉妹のものも含む、相続手続きに必要なすべての戸籍に広げる、附票も対象とする等の制度改革があってしかるべきだと思います。
オンライン化する
戸籍の広域交付というシステムがある以上、それをもとに、一般市民がオンラインで戸籍を取得するシステムがあってよいと思います。マイナンバーやマイナンバーカードもあるわけですから、マイナンバーカードの電子署名でオンラインシステムを利用できるようにすればよいのではないかと思います。
さらに進めば、マイナンバーに相続人情報を紐づければ、「戸籍謄本」が不要になるのではないでしょうか。ある人が亡くなったら、その人の相続人情報をもとに、市町村が相続関係説明図を発行し、それが相続手続きに使用できれば「戸籍謄本」は不要になるのではないでしょうか。私は、戸籍制度には反対しませんが、戸籍謄本や除籍謄本といった紙の証明書を添付する必要がある状況は改善されるべきだと思います。
相続登記手続報酬表(税別)
基本料金(課税価格2,000万円、不動産2筆、相続人3人までの法定相続分による相続の場合) | 60,000円 |
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下記のときは、上記基本料金に加えて、追加料金をいただきます。
遺産分割協議書等の書類作成 | 1つにつき20,000円 ただし、遺産分割協議書作成については、「遺産分割協議の報酬」を参照 |
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課税価格2000万円超のとき | 1,000万円増えるごとに2,500円加算 |
3筆以上のとき ※注1 | 1筆増えるごとに2,500円加算 |
相続人が4人以上のとき | 1人増えるごとに5,000円加算 |
戸籍・改製原戸籍・住民票・附票等取得費 | 1通2,000円 |
評価証明書取得 | 請求先一つにつき2,000円 |
複数の法務局に登記申請する場合 | 法務局ごとに報酬を計算 |
所有権移転と持分移転の双方の登記が必要なとき 所有権移転登記と保存登記の両方が必要なとき | 一つの登記でできないときは20,000円加算 |
※注 この他、登録免許税、謄本、戸籍等取得費、郵送代等の実費がかかります。
※注 特殊な相続等、上記料金のほかに別途報酬をいただく登記もございます。
※注1 付属建物・敷地権も1筆と数えます。
遺産分割協議書作成報酬(税別)
不動産のみの遺産分割協議書
20,000円
ただし、不動産の個数が4つ以上の時は、不動産の個数一個につき、1,000円加算。
不動産以外も含まれる場合
不動産以外の評価額3000万円までは20,000円加算。以降、1,000万円ごとに5,000円ずつ加算。
代襲相続・数次相続の場合
10,000円~40,000円加算
相続人が海外在住邦人の場合
1人につき10,000円加算
代償分割・換価分割など
事案により、20,000~40,000円加算
その他、事情により加算される場合があります。ただし、特殊な場合や財産が多岐に及ぶ場合或いは多額に及ぶ場合等を除き、遺産分割協議作成についての報酬が最高でも60,000円(税別)を超えることのないように配慮いたします。
なお、原則として、遺産分割協議書作成のみご依頼はお受けせず、行政書士を紹介します。司法書士が行う遺産分割協議書の作成は、相続登記、遺産承継業務、預金等の名義書き換え業務とセットでの受任となります。
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こうご司法書士事務所
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