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遺言を遺すことを検討すべき場合①相続人の中に行方不明者がいる場合

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遺言を遺すことを検討すべき場合①相続人の中に行方不明者がいる場合

遺言を遺すことを検討すべき場合①相続人の中に行方不明者がいる場合

2024/05/26

推定相続人の中に行方不明者がいる場合

推定相続人とは、自分が亡くなった時に相続人となるべき人のことです。当人が存命中は、その相続人のことを推定相続人と呼ぶのです。

推定相続人の中に行方不明者がいる場合、相続手続きが非常に困難になります。従って、このような場合には、遺言を遺すことを検討したほうが良いと思います。遺言を遺しておけば、行方不明者の存在をほぼ無視して、相続手続き(遺言執行)が進められるからです。

まずは、遺言を遺していない場合で、相続人に行方不明者がいる場合はどうなるのかを見ていきたいと思います。遺言を遺しておかない場合に、どのような手続きが必要なのかを見ておくことは、遺言の必要性を考えるのにプラスになると思います。

相続人に行方不明者がいる場合、相続手続きを進めるにあたって取るべき方法は二つあります。

相続人の中に行方不明者がいる場合の選択

不在者財産管理人選任申し立てをする

失踪宣告を申し立てる

不在者財産管理人選任申し立てについて

相続人の中に行方不明者がいる場合に、相続手続きを進めたい場合には、不在者財産管理人の選任申し立てを検討することが出来ます。不在者のために財産を管理する不在者財産管理人を選任し、不在者財産管理人が不在者に代わって、遺産分割協議に参加することで、遺産分割協議を成立させることが出来ます。そして、成立した遺産分割協議の内容をもって、相続手続きを進めていくことが出来るのです。

(不在者の財産の管理)

第二十五条 従来の住所又は居所を去った者(以下「不在者」という。)がその財産の管理人(以下この節において単に「管理人」という。)を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。本人の不在中に管理人の権限が消滅したときも、同様とする。

2 前項の規定による命令後、本人が管理人を置いたときは、家庭裁判所は、その管理人、利害関係人又は検察官の請求により、その命令を取り消さなければならない。

失踪宣告申立てについて

相続人が行方不明の場合、一定の要件を充たせば、失踪宣告の申し立てをすることができます。失踪宣告の効果としては、失踪宣告を受けた者が死亡したとみなされることになります。死亡したとみなされるということは、相続手続き上も、失踪者(行方不明者)が死亡したことになることを意味しています。

被相続人が死亡した時期と失踪者が死亡された時期の前後により、相続関係は変わりますが、被相続人よりも失踪者が先に死亡したとみなされる場合には、失踪者を被代襲者として代襲相続が発生します。失踪者に代襲相続人がいない場合には、失踪者の存在を無視して、遺産分割協議をすることができます。

なお、共同相続人は、失踪宣告を求めるについて法律的に利害関係があるため、失踪宣告の申立人となることができます。

(失踪の宣告)

第三十条 不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪そうの宣告をすることができる。

2 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止やんだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。

(失踪の宣告の効力)

第三十一条 前条第一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。

〇不在者財産管理人選任と失踪宣告の違い

相続人に行方不明者がいる場合、不在者財産管理人選任申立をするパターンと失踪宣告申立をするパターンがあります。行方不明から5年しか経っていないような場合には、失踪宣告を申立てることはできませんが、不在者財産管理人選任申立と失踪宣告の要件をいずれも充たす場合、いずれの選択肢をもとることができます。

不在者財産管理人選任を申立た場合、不在者は存命であルことを前提に、不在者財産管理人が不在者のために遺産分割協議をすることになります。従って、不在者は財産を取得することになります。通常、不在者のために行なう遺産分割協議においては、不在者財産管理人は、不在者のために法定相続分相当の遺産を確保する必要があります。不在者財産管理人選任パターンの場合、不在者は相続人となる上に、法定相続分相当も取得するのです。

一方、失踪宣告がなされると失踪者は、相続手続き上も死亡したとみなされるので、相続分を取得することはありません。また、財産管理人のような第三者が遺産分割協議に参加することもありません。

行方不明者対策としての遺言書作成

以上のように、行方不明者がいるからといって、相続手続きができないわけではありません。しかし、これまで述べてきたように、不在者財産管理人選任申立や失踪宣告申立などの家庭裁判所での手続きが必要となり、手間と費用がかかります。

不在者がいる場合に、あらかじめ遺言を遺しておくと、取りあえずは、行方不明者の存在を無視して、相続手続きを進めることができます。

そうした理由から、(推定)相続人の中に行方不明者がいる場合には、遺言書作成を検討した方がよいケースと言えるのです。

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