戸籍へのフリガナの記載(改正戸籍法施行)について
2025/02/08
改正戸籍法(2025年5月26日施行)
これまで戸籍には、フリガナが記載されておらず、戸籍からはその人の名前の読み方はわかりませんでした。例えば、中田さんという方がいらっしゃった場合、その方が、「ナカダ」さんなのか「ナカタ」さんなのかは戸籍上からは分かりませんでした。今後は、戸籍に名前のフリガナが記載されることにより、戸籍を見れば名前の読み方がわかるようになるのです。
改正法は、令和7年5月26日に施行され、実際に戸籍にフリガナが記載されるようになるのは、その1年後の令和8年5月26日以降になります。
なお、戸籍へのフリガナ記載の詳細は法務省のページ「戸籍にフリガナが記載されます」をご覧ください。
戸籍に氏名のフリガナが記載されるまでの流れ
戸籍にフリガナが記載されるまでの流れを簡単にご説明します。
まず、市区町村から、記載される予定のフリガナの通知がされます。この通知は、令和7年5月26日以降に、順次郵送される予定になっています。
具体的には、本籍地の市区町村から、住民票の情報を参考にして作られた「戸籍に記載される振り仮名の通知書」が、戸籍の筆頭者宛てに郵送されることになります。戸籍の筆頭者が死亡し、除籍されている場合には、その配偶者等に通知が郵送されます。
この通知書は戸籍単位で郵送されることになりますが、戸籍内で別住所の方がいる場合には、住所地ごとに郵送されることになります。
氏や名のフリガナの届出について
通知書に記載された氏や名のフリガナが、実際に使用している読み方と同じである場合には、何もする必要はありません。何もしなければ、通知された氏名がそのまま戸籍に記録されることになります。
それでは、もし、通知されたフリガナが、実際に使用している読み方と異なる場合にどうしたらよいでしょうか?その場合には、そのフリガナの届出が必要になります。この届出を決められた期間内(令和7年5月26日から令和8年5月25日まで)に届けないと、通知されたフリガナがそのまま戸籍に記載されてしまいます。
そして、フリガナの届出が受理されると、届出した氏や名のフリガナが戸籍に記載されることになります。ます。フリガナの届出は、氏または名のどちらか一方のみでも差し支えないとされています。
なお、改正法の施行日以降に出生届や帰化届等により初めて戸籍に記載される方は、その届出時に併せて氏名のフリガナを届け出ることになっています。
市区町村長による氏や名のフリガナの記録
届出がある場合には届出に従って、期間内に届出がな無かった場合には通知した氏や名のフリガナがそのまま、戸籍に記載されることになります。
届出の方法
フリガナの届出方法は、現時点では、まだ未定です。
現在のところ、マイナポータル連携を利用したり、最寄りの市区町村窓口への届出や本籍地市区町村へ郵送で届出する方法が予定されています。
フリガナが間違っているのに届出をしない場合は...
届出をしなければ、通知されたフリガナがそのまま戸籍に記録されることになります。戸籍に記録された後で、フリガナを変更(修正)した場合、1回に限って、氏や名のフリガナの変更の届出ができるとされています。
従って、期間内に届出を行わなかった場合、いったんは間違ったフリガナが戸籍に載ってしまうものの、届出をすることによって、1回は修正が出来る事になります。
フリガナの再変更には家庭裁判所の許可が必要
フリガナの届出は一回しかできません。一度変更したフリガナを再度変更したいときには、家庭裁判所の許可が必要となるので、ご注意ください。
もっとも、フリガナを二度変更することはあまり考えられないと思いますが...
キラキラネームや特殊な読み方は認められない可能性も??
法務省のページ「戸籍にフリガナが記載されます」のよくある質問のQ10に、届出することができないフリガナはありますか。という質問が載っています。
そして、それに対する答えのA10には、氏名のフリガナについては、「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでなければならない」との規律が設けられました。と記載されています。
そして、例として、
(1)漢字の持つ意味とは反対の意味による読み方(例:高をヒクシ)
(2)読み違い、書き違いかどうか判然としない読み方(例:太郎をジロウ、サブロウ)
(3)漢字の意味や読み方との関連性をおよそ又は全く認めることができない読み方(例:太郎をジョージ、マイケル)
といったものが挙げ、社会を混乱させるものは認められないと考えられるとしています。
実際にどのような運用がされるのかは判然としませんが、例えば、よく例に出る「光宙」と書いて「ピカチュウ」と読ませる名前の場合、漢字の意味や読み方との関連性をおよそ又は全く認めることができない読み方とまでは言えないので(でんきタイプのポケモンであるピカチュウは光を放つし、この漢字とピカチュウが関連性がないとまでは言えないと思われるから)、認められる可能性も十分にあるように思います。
また、これから届出られる名前ならともかく、既に使われている読み方が認められないものである場合には、どうなるのかとか、実際に認められないケースでは、訴訟提起して争う方も現れるのではないか、その場合、各々のケースについての運用が争われるのか法律の記載自体が憲法違反だという主張がなされるのか、裁判所の判断はどうなるのか、市町村の窓口でトラブルにならないのか等々、未知数の部分が少なくないように思います。
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