無効の可能性のある遺言が出てきたら
2025/03/07
遺言が形式的に無効である可能性がある場合
無効になる可能性のある遺言が出てきたら、どうしたらよいでしょうか?
ここでは、遺言能力(遺言を遺すことができる判断能力)には問題がないが、形式的要件を欠き、無効になる可能性がある場合を考えてみます。
遺言が形式的に無効になる場合について
遺言に形式的には問題はないが、遺言者の遺言能力に疑義がある場合には、遺言の無効を争う者が出現しない限り、遺言の無効が問題になることはありません。例えば、遺言等を登記原因証明情報として行う相続登記において、登記官が遺言者の遺言能力を確認するというようなことは行われません。
一方、遺言が形式的に問題があるときには、遺言の無効を主張する者が現れた場合だけでなく、登記申請が受理されないなどの形で、遺言が無効扱いされる可能性があります。
では、遺言に形式的不備があり、無効になる可能性がある場合にはどうしたらよいでしょうか?
遺産分割協議を行う
まず、遺産分割協議を行う方法が考えられます。
無効な遺言であっても、相続人全員が同意すれば、「遺言」の内容を尊重して、その通りに遺産分割協議を行うことは可能です。
「遺言」としては無効でも、被相続人の意思の表れと考えることは出来るわけで、被相続人の意思を尊重する趣旨から、同じ内容の遺産分割協議書を作成して、登記申請等に活用する事はあり得ます。
「遺言」の全部ではなく、一部を尊重するとか、「遺言」の内容を尊重したうえで、遺言の通りではないが「遺言」に配慮をした遺産分割を行うということもあり得るかと思います。
死因贈与として有効か?
遺言として無効であり、他の相続人の同意も得られないときはに採る方法としては、死因贈与(契約)として有効にならないかということを検討する余地があります。遺言としては無効であっても、死因贈与として有効であるとする判例・裁判例もあるからです。
ただ、通常は、「遺言としては無効でも死因贈与として有効である可能性がある(から、遺産分割協議に遺言の内容を反映させてほしい)」ことを、遺産分割協議の場で主張しているはずですし、死因贈与として有効だという主張を他の相続人納得するとは思えない(納得するなら、すでに解決しているはず)ので、死因贈与として有効であるという主張を行うには、弁護士に依頼して、交渉もしくは訴訟を行うことになるので、費用面も含めて、割に合うのかを検討する必要があります。
また、言うまでもなく、遺言として無効になる場合に、死因贈与として有効になる余地があるというだけで、それ以上でもそれ以下でもないのでご注意ください。遺言として無効だから絶対にダメだとか、あきらめるほかない、というわけではないということが申しあげたいだけなのです。
死因贈与として有効になる場合は?
遺言としては無効でも、死因贈与として有効である場合について、詳細に述べる事はここではひかえます。
一言だけ触れておくと、死因贈与は契約なので、「遺言」によって、贈与者の意思が示されているだけでは足りず、受贈者の承諾(死因贈与を受ける意思表示)が必要になります。従って、「遺言」があるという要素だけでなく、受贈者が被相続人の生前に、「遺言」に対して同様な対応をしていたかも重要となります。
なお、別の要素として、死因贈与契約は口頭でも成立するというものがあります。従って、「遺言」を死因贈与契約の存在を示す書類として使えない場合でも、別の要素も加味して、口頭での死因贈与契約が成立していたと考える余地もないわけではありません。
私見ですが、この辺りになると、ご自身で対応するのは厳しく、弁護士に依頼しないと対応が難しいと思われます。
当事務所では、弁護士を紹介する事も可能です。
----------------------------------------------------------------------
こうご司法書士事務所
東京都調布市西つつじケ丘3-26-7
アーバンフラッツMA202
電話番号 :
042-444-7960
調布で個別に寄り添う遺言書作成
----------------------------------------------------------------------