相続登記に必要な戸籍(兄弟姉妹の相続の場合)
2024/12/27
相続登記を申請するには、たくさんの戸籍を集める必要があります。
親子間の相続の場合、相続登記には次の戸籍が必要になります。
親子間の相続で必要な戸籍
・被相続人の戸籍(生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍)
・相続人全員の戸籍(現在の戸籍のみ)
一方、兄弟姉妹間の相続の場合、次の戸籍が必要になります。
兄弟姉妹間の相続で必要な戸籍
・被相続人の戸籍(生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍)
・父母の戸籍(生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍)
・相続人の戸籍(現在の戸籍のみ)
※場合によっては、祖父母の死亡の記載のある戸籍が必要な場合もあり。
兄弟姉妹間の相続の場合、親子化の相続の場合に比べ、被相続人の父母の戸籍も必要になるという違いがあります。
理由は二つあります。
まず、民法上、第一順位の相続人は子ですが、子がいない場合の第二順位の相続人は直系尊属になります。従って、直系尊属がいない(亡くなっている)=第二順位の相続人がいないことを示すために、父母が死亡していることが記載されている戸籍が必要になります。
次に、相続登記では、相続人全員で遺産分割協議をするか、相続人全員で法定相続分で登記をするか、そのいずれかの方法で登記をする必要があります。その前提として、相続人全員の存在を示す必要があります。言い換えると、他に相続人がいないことを示す必要があります。そのためには、父母の戸籍を生まれてから亡くなるまで取らないとならないのです。両親の全ての戸籍がないと、他に兄弟がいない事を示せないからです。
なお、場合によっては、祖父母が死亡していることを示す戸籍の添付も必要になります。第二順位の相続人は「直系尊属」ですが、直系尊属には、父母だけでなく、祖父母や曽祖父母も含まれるからです。第二順位の相続人が存命であれば、第三順位の相続人である兄弟姉妹は相続人にはなりません。それゆえに、祖父母の死亡の記載がある戸籍が必要になる場合があります。
「場合がある」と記載したように、祖父母の死亡の記載がある戸籍の添付が常に求められるわけではありません。確かに、直系尊属が生きていれば、兄弟姉妹ではなく直系尊属が相続人となりますが、直系尊属の全員が死亡していることを示すのは不可能ですし、また、その意味もないはずです。なぜなら、例えば、江戸時代に生まれた直系尊属が、今現在も存命であるはずはなく、そのような人についてまで、死亡していることを示さなくてはならないとするとすれば、極論すれば、兄弟姉妹間の相続手続きが出来ないことになりかねないからです。かと言って、昭和20年くらいに生まれた祖父母には、生きている確率がそれなりにあり、そのような場合にまで、祖父母の死亡の記載のある戸籍がいらないとすると、第二順位の相続人が存命なのに第三順位の相続人に相続登記をしてしまうような間違いが頻発するはずです。
はっきりと断言することは控えますが、一定の基準があり、それよりも遅く生まれた場合には、祖父母や曽祖父母の戸籍が必要な場合もあるという感じでとらえておくと良いと思います。
被相続人が養子になっている場合
父母の戸籍が必要であることは既に書きましたが、被相続人である兄弟が養子になっていた場合はどうでしょうか?
極めて例外的な場合を除き、養子になっても、生まれた家の親族関係が消える事はなく、養子の家、生まれた家双方との親戚関係が続きます。これは相続でも同じです。
従って、このような場合、生まれた家の兄弟姉妹も、養子に入った先の兄弟姉妹も、両方が相続人となります。また、父母の戸籍も、生まれた家の両親と養子に入った先の両親のいずれの戸籍も、生まれてから亡くなるまですべての戸籍が必要となります。
兄弟姉妹の戸籍と広域交付
兄弟姉妹の戸籍を集める場合、一つ、注意点があります。
現在、戸籍の広域交付の制度が始まっており、全国どこの窓口でも、本籍地がどこかに関わりなく、相続に必要な戸籍が一括してとれるようになっています。しかも、例えば、調布市の場合を例にとると、市役所窓口だけでなく、神代出張所でも、戸籍の一括取得が可能になっています。
しかし、広域交付の対象となっている戸籍は、自分自身や直系尊属のものであって、兄弟姉妹などの戸籍は広域交付の対象となっていません。従って、兄弟が親の戸籍に入ったままであるような場合を除き、兄弟姉妹の戸籍については、各本籍地に請求しなくてはなりません。
ただでさえ、集める戸籍が多いうえに、広域交付の対象外のため、兄弟姉妹の相続での戸籍収集はハードルが高くなってしまっています。
甥や姪が相続人となる場合(代襲相続や数次相続)
本来相続人となるはずだった兄弟が被相続人よりも先に亡くなっていた場合、代襲相続により、兄弟に変わってその子の甥や姪が相続人となります。これを代襲相続といいます。
相続発生後に、遺産分割協議や相続手続きをしないうちに、相続人たる兄弟姉妹が亡くなってしまった場合、二次相続が発生し、甥姪や兄弟の配偶者が相続人となります。これを数次相続や再転相続といいます。
代襲相続や数次相続の場合、被代襲者や二次相続の被相続人についても、生まれてから亡くなるまですべての戸籍が必要になるので、さらに戸籍集めが困難になってきます。
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