判例と裁判例の違い
2025/01/03
実は区別はあいまいである??
判例と裁判例という言葉がありますが、判例と裁判例はどのような意味でしょうか?また両者の意味はどのように違うのでしょうか?一般に判例とは、裁判において特定の具体的事件における裁判所が示した法律的判断のことを意味するとされています。裁判例の意味も、ほぼ同義だと思います。
とするならば、判例も裁判例も意味が異なることはなく、ほぼ同様の概念だということになります。実際、インターネットで検索すると、判例と裁判例を意識して分けているようには思えないサイトも散見されます。
他方、「判例」を最高裁判所の裁判例に限って使用しているページや書籍をよく見かけます。法律家や法律書では、通常、「判例」をこの意味で使うことが多いように思います。しかし、例えば、裁判所の「裁判例検索」のページでは、以下のような分類がなされています。
統合検索
最高裁判所判例集
高等裁判所判例集
下級裁判所裁判例速報
行政事件裁判例集
ここでは、高等裁判所判例集という言葉が使われており、裁判所によれば、「判例」という言葉は、最高裁の裁判例に限られないとしているようにも思えます。
判例と裁判例とは、本当に違う概念なのでしょうか??もしかすると、区別する実益はないのではないでしょうか??
最狭義の判例
この点につき、わかりやすいと思う説明をしているページを見つけたので、ご紹介しておきます。国立国会図書館サーチの「判例の調べ方」というページには次のように書かれています。
「「判例」とは、最も狭義には、最高裁判所が裁判の理由の中で示した法律的判断のうち、先例として事実上の拘束力を持つものを言います。他方、最も広義には、すべての裁判所の過去の裁判例のことを指します。」つまりは、「判例」とは、下級審の裁判例を含むすべて裁判例のことを指すが、最狭義には、その中でも最高裁の裁判例のうち、先例として事実上の拘束力を持つものを指すことになります。そして、以下は、私の付け加えですが、通常、法律家や法律書が注釈なしに「判例」という言葉を使用した場合、この最狭義の判例を指すことになります。
こうご司法書士事務所のサイト内でも、原則として単に「判例」という場合には、最狭義の判例を指しています。私の場合は、この点をさらに強調するために、判例のことを「最高裁判例」と言ったり、裁判例のことを「下級審の裁判例」と言ったりして、誤解を防ぐ言い方を使用することもあります。
判例を他の裁判例と区別する意味
最狭義の「判例」を他の裁判例と区別するのには理由があります。このページで、一見細かな違いに見えるようなことについて、くどくどと書いているのにも理由があります。
前述したとおり、判例は「先例として事実上の拘束力を持つも」ちますが、この点に大きな意味があります。のを言います。判例の判断は、一種の法源性を持ち、他の裁判所の判断を拘束するという意味で、他の裁判例とは明確な違いがあるのです(だからと言って、下級審の裁判例に意味がないわけではありません)。実際、これまでも、国民の意見を二分するようなイシューについては、地裁や高裁レベルでは判断が分かれることがありましたが、最高裁が判断をして決着を見るというようなことがありました。
下級審の裁判例レベルで判断がなされても、その判断と同じ判断が他の裁判所でもなされるとは限りませんが、最高裁判例が出れば、その判断と同様の判断が他の裁判所でもなされると考えてよいことになります。これが、判例の意味です。
言い方を変えると、下級審の裁判例で判示された内容を鵜吞みにするのは危険だが、最高裁判例であれば、ほぼ間違いなくその内容を受け入れてよいということになります。
裁判例を判例と同視する危険
裁判例と判例を区別しないということは、単なる下級審判例に過ぎないものについて、あたかも、先例拘束性があるかのような誤解を生みかねないという問題があるかと思います。
誤解を恐れずに言うと、裁判例と判例を区別しないようなサイトの信用性は高くないと言わざるを得ないのではないでしょうか。
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