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家督相続(現在でも家督相続を原因とする相続登記はありうるのか?)

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家督相続(現在でも家督相続を原因とする相続登記はありうるのか?)

家督相続(現在でも家督相続を原因とする相続登記はありうるのか?)

2016/07/23

 家督相続というとかなり古めかしい言葉に聞こえるかもしれません。

 

 家督相続とは、戦前の家制度のもとでの相続の制度です。

 戦前の旧民法のもとでは、現在の家族よりも広い「家」という概念があり、家の長(家長)の地位は、戸主から戸主へと引き継がれていきました。

 

 家の財産も、現在のように配偶者や子に相続されるのではなく、戸主から戸主へと相続されていきました。 

 

 このような相続を家督相続といいます。

 

 現在では、新民法のもと、配偶者に相続分があり、子どもには平等に相続分があります。

 

 では、例えば、平成28年7月25日申請の登記で、家督相続を登記原因とする登記が申請されることはあるでしょうか?

 

 実は、そのようなことも十分にあり得ます。

 

 基本的に、相続登記は、相続が発生した時の相続制度をもと行われます。

 

 従って、被相続人が亡くなったのが戦前であるような場合、今から相続登記をするとしても、今の相続制度ではなく、相続発生時=被相続人が亡くなったときの制度が適用されるのです。

 

 よって、被相続人が亡くなったのが戦前である場合、昭和15年1月4日家督相続という登記原因及び日付で相続登記を行うことになるのです。

 

 このような、家督相続は、昭和22年5月2日以前に被相続人が亡くなっている場合に問題となります。

 

 家督相続が絡む場合、相続の手続(集める戸籍の範囲、遺産分割協議に参加する人の範囲など)が現在の相続制度での相続登記と異ってきます。

 

 例えば、次のような事例を考えてみたいと思います。

 

 自分の住んでいる土地が、かなり昔に亡くなったおじいさん名義のままになっています。

 お父さんは長男で4人兄弟。

 お父さんも兄弟も既にみんな亡くなっています。

 自分には兄弟といとこが何人もいます。

 その状態で何十年もの間、相続登記をせずに放っておきました。

 自分もいい年なので、子どものためにも、自分が亡くなる前に相続登記をしてしまって、面倒を子どもの代に残したくないと考えています。

 

 このような事例があったとします。
 

 代襲相続等の要素を加味するとわかりづらくなるので、すべての登場人物は、生まれた順に亡くなったとします。

 

 例えば、おじいさんが亡くなったのが昭和50年1月10日だったとします。

 

 この場合、通常、自分の名義に相続登記を入れるためには、兄弟といとこ全ての同意がいることになります。
 具体的には、兄弟といとこ全員で遺産分割協議を行い(もしくは個別に同意をもらって)、遺産分割協議書に実印を押してもらい、印鑑証明書をもらうことになります。


 兄弟でも疎遠になっているということはよくありますし、いとこならなおさら疎遠になっている可能性があるので、いわゆるハンコをもらう作業はなかなか大変です。


 一方、おじいさんが亡くなったのが、昭和15年1月10日だったらどうでしょう?

 

 この場合、おじいさんを被相続人とする相続は、家督相続になります。

 おじいさんの土地は、新戸主であるお父さんに単独で相続されます。

 

 お父さんが亡くなったのは戦後だとすると、この土地を自分が単独で相続するために話し合うのは、兄弟だけでいいことになります。

 おじいさんの相続では、お父さんの兄弟には相続権はないので、その子どもであるいとこたちの了承なしに、自分単独名義の相続登記を入れることができことになります。


 このように、長年放置していた相続の場合、家督相続が絡むかどうかで、相続人の範囲に大きな差が出てくる場合があります。


 繰り返しになりますが、相続は、今の制度が適用されるわけではなく、あくまで、「亡くなった時=相続が発生した時」の制度が適用されます。
 

 ですので、家督相続の時代に発生した相続は、今まで放置されていたとしても、今の制度ではなく、家督相続の制度が適用されますし、それ以外にも、相続分等は、その時その時の、「亡くなった時=相続が発生した時」の制度が適用されることになります。


 家督相続から今のようなどれもが相続権を持つような制度に変わった以外にも、実は配偶者の相続分など、何回か相続の制度は変わっています。

 また、嫡出子と嫡出でない子(非嫡出子)の相続分の違いも、最高裁判決と民法改正によりなくなったりしました。


 今も、民法改正の話が出ていますが、今の制度が永遠に続くわけではなく、憲法に反しない範囲で、今後も変わっていくことは十分にあり得るのです。


 それはともかく、もしお父さんが家督相続していた場合には、いとこの承諾は必要なく、兄弟の同意のみで単独相続ができることになります。


 家督相続しているかは、戸籍を見ればわかります。

 

 戸籍をさかのぼり、お父さんの戸籍が作られたのが、家督相続を理由とするならば、土地も家督相続されていることになります。

 戸籍を見て、「戸主」とか「家督相続」の文字が書かれているなら、その可能性があることになります。


※家督相続にしろ、そうでないにしろ、長期間放置していたような相続は、ご自身で判断をせず、専門家に相談することをお勧めします。

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