相続放棄申述受理通知書と相続放棄申述受理証明書
2024/12/07
相続放棄申述受理通知書と相続放棄申述受理証明書
相続放棄が受理されると、裁判所から通知が送られてきます。この通知が、相続放棄申述受理通知書です。また、相続放棄申述受理後に裁判所に請求すると、相続放棄の申述が受理されたことを証明する相続放棄申述受理証明書を取得することができます。
相続放棄申述受理通知書は、特に何の手続きをしなくても裁判所から送られてきます。一方、相続放棄申述受理証明書は、相続放棄申述受理後に、別途、証明書の発行を請求する必要があり、有料(150円)で取得することになります。
わざわざ、相続放棄申述受理証明書を発行する必要はあるのでしょうか?
〇相続放棄申述受理証明書は、ほとんどの場合必要ない
実は、相続放棄申述受理証明書が必要な場面はほとんどありません。ほとんどの場合には、通知書で足りるからです。
例えば、相続登記を法務局に申請する場合、以前は、相続放棄申述受理証明書の添付が必要でしたが、現在では、相続放棄申述受理通知書の添付でよいとされています(例外あり)。
銀行の相続手続でも、相続放棄申述受理通知書でよいところがほとんどです。ただし、法務局や銀行では、通知書の原本の提出を求められるので、注意が必要です。
市役所の固定資産税課などに対しても、証明書の提出は必要なく、通知書の提出で足ります。貸金業者の場合も、多くは、通知書の提出で足ります。固定資産税課や貸金業者に通知書を提出する場合には、通知書の原本ではなく、コピーで足りることがほとんどです。
〇証明書発行が必要な場合
通知書をなくした場合
相続放棄申述受理通知書をなくしてしまった場合、証明書を取得して、証明書を提出するほかありません。
通知書が手に入らない場合
相続人がAとBの二人の場合で、Aが相続放棄をして、Bは相続放棄をしなかったとします。このような場合、相続登記をするときには、Aが相続放棄をしたことを示す相続放棄申述受理通知書の原本を添付する必要があります。しかし、たとえば、AとBが不仲で、Aが通知書を提供してくれない事もあり得ます。
そのような場合、Bが相続放棄申述受理証明書を請求して、相続登記の添付書類とする方法が考えられます。Bは、Aの相続放棄申述受理証明書を取得することが出来るのでしょうか?
通知書が登記に使えない場合
従来の扱いが変更された根拠となっているのは、
相続の放棄があったことを証する情報として、「相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会に対する家庭裁判所からの回答書」又は「家庭裁判所からの相続放棄申述受理通知書」が添付されているときは、その内容が相続放棄申述受理証明書と同等の内容が記載されているものと認められるものであれば、これらを登記原因を証する情報の一部として提供することができる(登記研究808号質疑応答)。
という「登記研究」が根拠とされています。
太字の部分は、私が強調したのですが、この部分によると、通知書は常に使用できるのではなく、証明書と同等の内容が記載されている場合に限定して、通知書の使用が可能であるように読み取れます。
相続放棄手続きを複数の家裁で経験するとわかるのですが、実は、各家裁によって、通知書の記載は様々です。例えば、被相続人の氏名の記載しかなく、本籍の記載がないようなものもあります。このようなものの場合、証明書と同等の内容が記載されているとはいえず、相続登記に証明書月開けない可能性があるので、注意が必要です。
〇申述者以外に、利害関係人も証明書の発行を申請できる
利害関係人による申請(請求)
相続放棄申述受理証明書をは、申述者本人だけでなく、利害関係人も請求することが出来ます。
利害関係人とは、債権者などのほかに、他の相続人も含まれます。
従って、前述のケースの場合、BはAの相続放棄申述受理証明書の発行を請求できるのです。
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