遺産分割協議書の作成方法(2ページ以上にまたがる場合)
2025/01/11
遺産分割協議書について
遺産分割協議書とは、遺産分割協議(遺産をどのように分けるかの話し合い)のか結果を文書にまとめたものです。
遺産分割協議が成立すると、それに基づいて、相続登記をしたり、銀行預金の解約手続きをしたりします。しかし、協議が成立しただけでは、協議の内容を証明することができません。そこで、当事者間で蒸し返されないように、あるいは、法務局や銀行に提出するために、協議の内容をまとめ、全員が合意したことを示すために、遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名捺印します。遺産分割協議書への押印は、通常、実印で行います。法務局や銀行に提出する遺産分割協議書には、実印での押印が必要だからです。
遺産分割協議書が何ページにもなってしまう場合
遺産分割協議書の署名捺印について考えていきたいと思います。
遺産分割協議書が1ページに収まれば、その1枚に署名捺印すればよいので、特に問題はないかと思います。
では、2ページ以上になってしまう場合には、どうしたらよいでしょうか?
2ページに収まる場合
2ページに収まる場合、次の二つの方法が考えられます。
・A3用紙にA4を2ページ印刷する
・A4用紙に、表裏両面印刷をする
私は、A3用紙に印刷する方法を取ります。司法書士はA3印刷を利用することが多いので、ほとんどの司法書士事務所はA3印刷に対応しているはずです。
一方、弁護士等が作成する遺産分割協議書には、A4の表裏に印刷したものもよく見かけます。
3ページ以上になる場合
2ページまでに収まる場合は何とかなりますが、3ページ以上になる場合はどうしたらよいでしょうか?
・ページとページの間に契印をする
・製本テープを貼って、表面(及び裏面)に契印をする
契印をしなくても大丈夫か??
インターネット上には、契印がなくても法務局に提出する遺産分割協議書として使用できるという情報が散見されます。本当にそうなのでしょうか??
確かに、法律上は契印をしなくても無効になるような規定はありません。
しかし、契印が無いと、署名捺印があるページ以外を差し替えてもわからないという問題があります。この観点からは、争いが起こらなければ問題はありませんが、争いが起こった時に、遺産分割協議書全体の有効性を証明出来るのかには疑義があります。
また、法務局に提出できるかという観点についても、契印なしでは疑義があります。私が知る限り、契印についての先例や通達はないのではないかと思います。また、司法書士等の専門職が絡む場合、契印なしで手続きを行う事はほとんどないと思われるので、契印なしの協議書が登記に使えるのかははっきりしない面があると思います。
従って、少なくとも私は、契印はしたほうがよいと思います。
なぜ契印にこだわるのか
契印はあった方がよいのは間違いないし、あっても困らないのだから、契印はすることとし、契印の有無についてこだわる必要などないのではないか、と思われる方も少なくないと思います。
全員が集まって署名捺印するような場合は、あまり心配はなく、こだわる意味はない思います。専門職が立ち会う等すれば。契印のミスが起こることはないでしょう。
遺産分割協議書は、全員が集まって署名捺印する必要があるわけではありません。例えば、郵送で順番に廻して署名捺印することもできます。あるいは、遺産分割協議証明書等、相続人各人が遺産分圧協議が成立したことを証明する形式で作成することもあります。
こうした場合、契印が上手くできない場合も少なくありません。
家を買ったときや、ビジネスの現場で、押印をしたことがある方であれば、押印を間違う事はないでしょう。押印を間違うという事自体、信じられない方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、実際には、押印が上手くできていない遺産分割協議書は珍しくないというのが現状です。
例えば、押印位置に付箋を貼っておくと、付箋の上から押印してしまったり、契印を押す個所に鉛筆で丸印を付けていても、なぜか、丸からずれて、製本テープに係らないように押印したりとか、押印をめぐる間違いは少なくないのです。
そうした間違いに遭遇したことのある専門職としては、出来るだけ間違いの可能性が少なくなるよう、余白を減らしたり、記載を簡略化したりして、1枚の紙に収まるようにしたりして、なんとか、契印をしなくても済むように工夫したりもします。
このような事情があるので、たかが契印ではなく、非常に重要な要素なのです。
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